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③まとめ『この世界の片隅に』ヒットはコンテンツファイナンスの新たなMakuakeとなるか?

 『この世界の片隅に』が、クラウドファンディングでの調達を行い大ヒットを飛ばしたことで映画をはじめとしたコンテンツファイナンスにおける同手法のプレゼンス向上のきっかけになったかもしれません。

私はコンテンツ業界に身を置いているわけではありませんので、正確性に乏しいかもしれませんが、コンテンツファイナンスを振り返る上でのポイントは以下の通りだと認識しています。

1つ目に、これまでの主流である『製作委員会方式』。 

hiroki0412.hatenablog.com

 

次に、信託法の改正とともに実現可能となり注目されたものの、一過性のブームとして過ぎ去った『著作権信託』。

hiroki0412.hatenablog.com

 

最後に、IT技術の発達により可能となった『クラウドファンディング』。

これら3つの特徴を考えつつ、コンテンツファイナンスの未来を考えます。

※長いので3本に分けます。

3.クラウドファンディングの可能性

 最後に、『この世界の片隅に』で資金調達に使われたクラウドファンディングについてです。ここでは、Makuakeなどが実行している寄付型を検討対象とします。

 クラウドファンディングの類型については以下の記事をご覧ください。

hiroki0412.hatenablog.com

 

有名になった映画の製作費を一部でも調達されたのは本作が初めてだと思います。

www.makuake.com

クラウドファンディングのメリット

・金銭的リターン目当てではないファンから資金を集めることができる

・募集動向の良し悪しでマーケティングにもなる

クラウドファンディングのデメリット

・調達可能金額が少ない

 

クラウドファンディングは、しばしば芸術や音楽、イベント、ボランティアなど既存のファイナンス手法ではなかなか資金を調達しにくい案件がしばしば見られます。

また、募集者が個人単位であったり、中には法人が特定の商品開発のために募集するために利用している場合もあります。下記、Qrioソニーの出資会社であったこともあり、大きな話題になりました。

www.makuake.com

クラウドファンディングの第1のメリットは、金銭的リターン目当てでないファンから資金提供を受けられることです。上記のスマートロックの場合、購入型(商品の予約を含めた資金提供)と寄付型の混合系です。購入型の場合、完成した商品というリターンを期待されますが、提供金額によってはお礼メールのみで終わることもあります。また、募集動向の良し悪しで、そのイベント、商品の初期的なマーケティングになります。これまでのサービスがふたを開けてみる(販売してみる)までわからなかったのが、集まらなかった場合はサービスの練り直しも検討できます。

 

逆に、デメリットは資金調達可能額の少なさです。

日本の主要クラウドファンディング 累計支援額 月次推移 (積み上げグラフ)

出典:「日本の主要クラウドファンディング 累計支援額 月次推移

主要クラウドファンディング会社の累計支援額は、2016年11月時点で90億円弱です。

1件あたりは数百万~数千万円と、一般的な銀行借入や製作委員会方式で出資する金額より圧倒的に少ないです。

今後は、製作委員会方式で大部分を調達し、マーケティングとリスク分散を兼ねてクラウドファンディングを利用するパターンが増えるかもしれません。

 

まとめ:コンテンツ業界において、クラウドファンディングは根付くのか?

 分量が多くなったので3記事に分割しましたが、『この世界の片隅に』のヒットを期に、製作委員会方式一辺倒の同業界にクラウドファンディングがどの程度食い込んでいけるかについて考えたいと思います。

クラウドファンディングは、ファンの心をつかめれば必ずしも金銭的リターンを返す必要もないため、メリットは大きいです。

しかし、製作に必要な金額(数億~数十億)と同調達方法のマーケット規模を勘案すると、安定的に数億円の資金が調達できなければ、資金源としてクラウドファンディングが根付くことはないかもしれません。あくまで少額調達+マーケティングどまりといったところでしょうか。

 やはり、どちらかというと既存の手法では調達できにくい規模の小さな事業体等が利用するのが主流になりそうです。