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②『この世界の片隅に』ヒットはコンテンツファイナンスの新たなMakuakeとなるか?

 『この世界の片隅に』が、クラウドファンディングでの調達を行い大ヒットを飛ばしたことで映画をはじめとしたコンテンツファイナンスにおける同手法のプレゼンス向上のきっかけになったかもしれません。

私はコンテンツ業界に身を置いているわけではありませんので、正確性に乏しいかもしれませんが、コンテンツファイナンスを振り返る上でのポイントは以下の通りだと認識しています。

1つ目に、これまでの主流である『製作委員会方式』。

次に、信託法の改正とともに実現可能となり注目されたものの、一過性のブームとして過ぎ去った『著作権信託』。

最後に、IT技術の発達により可能となった『クラウドファンディング』。

これら3つの特徴を考えつつ、コンテンツファイナンスの未来を考えます。

※長いので3本に分けます。

2.過去の遺産:著作権信託

2004年の改正信託法施行により、著作権信託が可能となりました。その結果、2009年ごろには知的財産(特許権著作権など)信託が注目されます。

 

著作権信託(資金調達)の仕組み

出典:一般社団法人信託協会著作権信託(資金調達)の仕組み

著作権信託のメリット

・資金調達額の増大

・リスク分散

著作権信託のデメリット

・スキーム設定コストがかかる

・初期製作費用は調達できない(著作権が発生している段階からの資金調達)

著作権のプライシングが困難

 

著作権信託を行うメリットは2つあった(近年では発行事例なくなってしまっており、過去形で記載します)と考えられます。

1つ目は、資金調達額の増大です。権利利用者のみで資金提供するよりも、広く外部向けに受益権を販売する方が調達できる金額は大きくなる可能性があります。状況によって、すべて外部調達にしたり、一部権利利用者が資金提供するなどいくつかの方法を使い分けることもできます。

2つ目に、リスクの分散です。外部投資家に信託受益権を販売することで、作品の失敗リスクを投資家全員で分担することができます。ただし、成功したときの収益も分散していまうことには注意が必要です。

 

デメリットは、コスト面。信託を利用することで金銭的な面と労力的な面でコストがかかります。外部投資家に受益権販売するとすると、金融商品として様々な規制を受けます。製作委員会のように仲間内で組成するようにツー・カーではいきません。

また、これが著作権信託の最もハードルの高い点だと思いますが、著作権のプライシングが非常に難しい(キャッシュフローが予測しづらい)ということだと思います。

 

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 資産の流動化は、「キャッシュフローが発生すれば何でもできる」とよく言われるのを耳にします。これは、ある点で正しく、ある点で間違っています。

この言葉通り、キャッシュフローが発生する資産であれば、大抵の資産は流動化し資金調達に使うことができます。ただし、その確度は、キャッシュフローの予測確度によります。

現在でも一般的に流動化が行われている資産の例は、住宅ローンです。住宅ローンの場合は、返済回数が契約時点で決まっています。また、複数の債権をまとめて譲渡することで、過去の実績から全体金額のうち、デフォルトや期限前弁済の水準もある程度予測が立てられます。これらによって、確度の高いキャッシュフローが算出できます。ただし、これもあくまで過去の実績ベースなので未来がどうなるかはわからないですが…。

 

hiroki0412.hatenablog.com

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著作権の場合は、 「今後どのように利用されるか」「どの程度利用されるか」が予測できません。たとえば、映画を作って上映したと仮定して、どの程度の売り上げが上がるのか(キャッシュフローが発生するのか)は、契約に基づいたものではないため全く予想はできないです。こういったリスクの高い商品であるため、投資家を見つけるのが困難だったのではないでしょうか(機関投資家はおそらく手を出さないので、こういった作品に興味のある個人になると思います。下記、書籍でも当初友人から募集を始めていたようです。)?

文化に投資する時代 (カルチャー・スタディーズ) (カルチャー・スタディーズ)

文化に投資する時代 (カルチャー・スタディーズ) (カルチャー・スタディーズ)

 

 

 ちなみに西村あさひ編の本では、まだ「新しいファイナンス手法」として掲載されています。

 本書のロイヤルティ債権を流動化する方式であれば、将来のキャッシュフローが比較的読みやすいかもしれません(いずれにせよ金額が不透明かもしれませんが…)。

 

次回、クラウドファンディングについて検討し、コンテンツファイナンスの総括をします。