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【映画】‐18 『この世界の片隅に』 非日常の中で静かに営まれた日常の美しさ

映画 クラウドファンディング 金融

※この記事は、映画の内容について若干のネタバレを含みます。ネタバレを好まない方は映画を見た後お読みください。

konosekai.jp

1.「非日常」のなかのちいさな「日常」

本作は、第二次大戦前後の広島が舞台。

主人公すずを取り巻く日常の変化を描きます。

この時代を描く映画は、どうしても「戦争の悲惨さ」を前面に押し出した構成になっています(それがこの時代をテーマとする理由であることが普通なので、それを否定するつもりはありません)。

そうすると、どうしても映画全体の雰囲気が重苦しくなり、積極的に映画館に足を運ぶのが難しい作品となってしまいます

しかし、本作はそういったイメージをはねのけ、素晴らしい興行成績(1/7時点で10億円)を上げ、順次上映関数も拡大しています。

1月にテアトルを中心に比較的小さな劇場で封切されて以来、ロングラン上映に入ったと思われますので、『シン・ゴジラ』『君の名は。』につづく今季3作目の大ヒットが間違いない状況です。

www.huffingtonpost.jp

www.cinemacafe.net

この最も大きな理由は、作品のテーマを、戦時という「非日常」におけるすずの家事etcという「日常」に、あえてフォーカスしていることにあるのではないかと思います。

すずの幼少期(戦争前)から始まり、戦争が日常を侵食していっても、あらゆる知恵を使って平和を、幸せを維持しようとした庶民の日々。

すずの生活ぶりは、戦争映画ではわからない当時のリアルな国民の日常をわれわれに教えてくれるという点で非常に興味深いものとなっています。

2.クラウドファンディングから生まれたヒット映画第1号

本作において内容以外に注目すべき点は、その資金調達の一部にクラウドファンディングが利用されたことです。

www.makuake.com

現在第2弾プロジェクト(海外展開応援)も実施中。

これまで、コンテンツに対するファイナンス製作委員会方式がほとんどでした。

完成以前から製作サイドの関係者の資金ではなく、消費者(ファン)の資金を取り入れることに成功した作品として名前を刻むことになるでしょう。

今回は、寄付・購入型クラウドファンディングである「Makuake」にて募集したようです。金銭的リターンのない寄付型では、いかに「このプロジェクトを応援したい」と思ってもらうかが重要になります。

本作の調達においても、初期的な段階ではなく、映像化における最終調達に使われたようです。

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出典:片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援 | クラウドファンディング - Makuake(マクアケ)

↑案件募集にあたっては完成イメージが伝わりやすいように絵コンテが公開されています。

コンテンツ全般のファイナンス事情と本作の影響については、別記事で考えてみたいと思いますが、コンテンツファイナンスの新たな道を切り開くことになるかもしれません。

3.まとめ‐大ヒットのわけは?

戦争に関する映画でかつそれほど有名でない作品がここまで大ヒットを記録するのは珍しいと思います(近年では『永遠の0』という巨人がいますが、原作の小説が相当な部数を売り上げていたので注目度が段違いだったと推測できます)。

なぜここまでヒットしたのか?

まず、「戦争そのものではなくその隣で営まれる日常がテーマ」「クラウドファンディングによる資金調達」など話題を集めるのに十分なニュース性が備わっていたことが大きかったのではないかと思います。

さらに、主人公「すず」のキャラクターに魅かれ観終わった消費者が、SNSでの拡散したことによりさらに広がりを見せていると考えられます。

SNS時代には、クチコミが大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

直近3か月間のキーワード検索トレンドを見ると、『君の名は。』が徐々に下火担っていくのと入れ替わって『この世界の片隅に』がじわじわと検索されるようになったようです。

今後も「SNSでシェアしやすい」というのはあらゆる商品のマーケティングにおいてキーワードになってくるのでしょう。

 

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

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この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

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小説 この世界の片隅に (双葉文庫)

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のん、呉へ。 2泊3日の旅

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