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【映画】-9 『怒り』 愛と怒り、人を信じぬくことの困難

映画

※この記事は、映画の内容について若干のネタバレを含みます。ネタバレを好まない方は映画を見た後お読みください。

「喜怒哀楽」という4つの感情について考えてみると、「怒り」という感情だけが誰かに向けられる可能性を秘めた感情であることに思いを至ります。

www.ikari-movie.com

『怒り』の主題は、「人を信じること」。

下記ニュースによると…

zasshi.news.yahoo.co.jp

大ヒットとなった「悪人」(2010年)から6年。李監督は再び吉田修一の作品を映画化。人を“信じる”とは?という根源的な問いを投げかける。

 人はどこまで人を信じることができるのか──。

 

豪華なキャスト陣が見かけ倒しではない

閑静な住宅街で起きた殺人事件。犯人が捕まらないまま1年が過ぎた後、3つの場所に3人の男たちが現れます。それぞれの場所は関係してこないのですが、各グループの役者が1作品の主役を張れるくらいの豪華な顔ぶれです。

東京

母:藤田貴子

息子:妻夫木聡

謎の男:綾野剛

千葉

父(洋平):渡辺健

娘(愛子):宮崎あおい

謎の男:松山ケンイチ

沖縄

女の子:広瀬すず

同級生:佐久本宝

謎の男:森山未来

唯一、沖縄の佐久本君がオーディションで選ばれた無名の役者であるくらいで(だからこそ沖縄の方言でリアルなやり取りができたのだと思います)、それ以外の人たちは主役級です。

ただ、キャストが豪華なだけの作品も多くありますが本作は、それぞれが役に染まりきっているという感じ。ちなみに音楽は坂本龍一さんです。

人を信じ、人を疑い、そして「怒り」を向ける先は?

私たちは、与えられた情報を「信じる」ということを日常的に行っています。実はそれらが本当に正しいのかどうかを調べるのは困難で、一度「嘘なんじゃないか?」と思うと疑心暗鬼に陥ってしまいます。

本作は人を「信じる」ことのことのむずかしさを描いています。

突然現れた、身元不詳の男。

当初は、みなその言葉を信じます。

しかし、徐々に見えてくる別の顔。彼は殺人犯なのか。

信じていたはずの人を疑い始めるとすべてが嘘に思えてきます。

私たちが信じているものがどれほど頼りないか、それを改めて突きつけられます。

 

本作のタイトルは「怒り」。冒頭でも書いた通り、怒りという感情は明確に対象が存在します。

 

なぜ、誰に対して、「怒り」を向けるのか?

理不尽な社会に対して「怒り」を覚えるのか?

愛する人を疑った自分に対して「怒り」を覚えるのか?

何もできないふがいない自分に対して「怒り」を覚えるのか?

信じた者の裏切りに「怒り」を覚えるのか?

 

この「怒り」とは、実は難しいはずの「信じる」という行為により、思いが裏切られた結果なのです。

まとめ

殺人犯山神一也は一人です。しかし、殺人犯ではなかったからと言ってハッピーエンドに終わるとは限らないところに本作の良さがあると思います。

殺人犯が3組の日常にひそみ徐々に暴かれていくサスペンスでありながら、それぞれの愛の物語でもあります。

人は多かれ少なかれ他人に隠したいことがあります。嘘に気づき、その裏切りを飲み込んでそれでもその人を信じ続けることができるのか。

殺人犯の存在という非日常が、私たちのこころをあぶり出しているように感じました。

 

怒り(上) (中公文庫)

怒り(上) (中公文庫)

 

 

 

怒り(下) (中公文庫)

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