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今日は何読もう。何観よう。

旅と読書と美味しいものと。

日本農業その2 改革のゆくえ

昨日(8/27)から一週間夏休みです。1か月ほど遅れましたが、まあ良しとしましょう。

昔(もう2年近く前か…)こんな記事を書いていたんですが、「その1」で終わってました。

hiroki0412.hatenablog.com

 常々、自分は「今後農業は熱い」と言ってました。これは大学時代から変わらず。

久しぶりにその2を書こうと思い至ったのは、理由があります。

 

www.nikkei.com

www.smbc.co.jp

 

緑(SMFG)、農業始めるってよ

 

これです。金融業界の末席を汚させて頂いておる身分ではございますが、このニュースは衝撃的でした。はっきり言って、

「気でも狂ったか」

と思いましたよ。

日本の農業自体には、将来性を感じています。高齢化で働き手が減少し、今後必ず法人による労働集約化の流れが来ます。

しかし、前回の記事から2年。もちろん規制が随分緩和されてはいますが、それでもまだ大部分の既得権益はのこったまま。TPPは宙ぶらりん。新規参入した企業の多くが撤退の憂き目にあっています。

ましてや、銀行様ですからね。モノの生産経験もなければ、物流もない。何考えてんだ、と。

ほんとに何考えてんだろうか?

それを考えるのが、本記事の目的です。

SMFG農業参入の意図は何か?

 改めて、上掲のニュースリリースを見てみます。

…この実経験に基づき農業経営にかかる知見を蓄積し、農業分野への金融面からのサポート体制やソリューション提供力の強化を図ることで、農業者の「攻めの経営」の実現を支援いたします。

 2016年6月15日 三井住友銀行 ニュースリリース『農業ビジネスの展開について』

 つまり、法人(農地所有適格法人)に出資を行うものの、主にオペレーションを行うのはあきたこまち生産者協会の関係者の方々と予想。SMFGは、設備投資ニーズ(三井住友銀行)や農機のリースニーズ(三井住友ファイナンス&リース)をつかむために出資関係を組むというのが実際のところでしょう。

しかし、農業分野での金融は今に始まったことではありません。農家向けの貸出ではJAが圧倒的なシェアを持っています。リースもヤンマー子会社(ヤンマークレジット)等があります。

これまでの農業金融は、ほぼ個人に向けである上、農作物という天候に左右されるものをキャッシュフローの源泉としたビジネスでした。仮に農作物が不作だった場合、債務者の返済能力は急激に落ちます。農業金融がごく一部のプレイヤーに独占されていたのはその回収に関し非常に難易度が高かったからだと思います。

「農地所有適格法人」がポイント

今回、SMFGが『農地所有適格法人』に出資したということは、

「これから農業金融頑張っていくよ」

という意味だと解釈しています。

「それなら、昔から出資してノウハウなりなんなり得ておくべきだったんじゃない?」と思うのが普通です。この『農業所有適格法人』というのがポイントです。これまで(以前は農業生産法人と呼ばれていました)は、農家以外が農業法人に出資するのはとてもハードルが高かったのです。

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出典:農水省

上掲は、農水省による農業法人要件改正のまとめです。そもそも農地というものは、所有関係が厳格に規制されていて、法人格として保有する場合もその条件が決まっていました。

ポイントは、4と5です。

改正前は4.議決権要件により、農業関係者が3/4以上であることが求めれらていたほか、役員の過半が常時(年150日以上)農業従事者で、さらにその過半は農作業に従事することが必須でした。つまり、農家の人たちがちょっと規模を大きくするために法人格を取得する以外では難しい状態だったのです。

改正後は、この2点につき農業関係者の議決権は1/2超、役員の過半は常時農業従事者だが、役員または使用人のうち1人以上が農作業に従事に緩和、になりました。主業が農業以外の人たちの参入余地が生まれたことになります。

今回は金融機関が参入しましたが、同様の方式でさらに別業態(スーパーなど)からの農業参入が促進されるのではないかと思います。そうなれば、農業金融はこれまでのようなコンシューマーファイナンスに近い世界からよりコーポレートファイナンスに進んでいくでしょう。

SMFGは農業金融の発展を見越して先手を打ったと言えます。だてに緑じゃないです。

まとめ

ニュースでは、SMBCが生産を主導するといった記載も見られますが、個人的には懐疑的です。あくまでも今後の法人参入による資金需要を見越した出資だと思います。

しかし、コメは9割がたの日本人が消費する者でもともと日本では貨幣の代わりをしていた時代もありました。そういった意味では、金融機関が交換経済の源流に戻ってきたという見方もできて面白いかもしれません。絶対ないですが。

 

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