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【映画】-1『マネーショート』がマニアックすぎた② CDS

 社会人になってからの不定期の日課が、ナイトシネマで映画を見ることなのだが、「ちはやふる 上の句」を見る機会をついにのがしショック…

 前回の続きで、『マネーショート』の不親切な解説でちんぷんかんぷんにならないように、金融商品の大雑把な概要をまとめる。2つ目は、CDS(Credit Default Swap)について。

1.CDSは、死亡保険みたいなもの

 CDS(Credit Default Swap)は、デリバティブ(金融派生商品)の一種で、「信用リスクを外部に転嫁する商品」のことを指す。

 具体的な例として、以下の図の取引を考える(取引イメージは、三菱東京UFJ銀行市場企画部/金融市場部著「デリバティブ取引のすべて」を参考に作成)。

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 投資家が、A社発行の社債を保有しているとする(投資家が銀行の場合などは、ローンなども含まれる。A社の信用力を見て、社債を買ったり、ローンを実行している状況ならなんでもよい)。この時、投資家は、一定期間ごとにA社から社債の利息を受取り最終的には元金を含めて返済を受けるが、途中でA社が破たんしてしまった場合は償還を受けられないことになる(社債の場合は、元金一括であることがほとんどでローンでも多い)。

 このリスクを最小化するために、投資家は別の金融機関と(図ではBANKとか書かれてるが銀行とは限らない。念のため。)CDSを契約する。投資家は、想定元本(ここでは、社債元本)から計算される保険料(プレミアム料)を支払い、A社に信用事由が発生した場合(この信用事由かどうかも結構揉める/ WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com)、参照債務(ここでいう社債)を元本額で買い取る(現物決済)か、下がった分の差分を引き渡す(現金決済)ことでリスクをCDS提供者が負担する仕組みになっている。

 見出しに「死亡保険みたいなもの」と書いたのは、A社が死亡(破たん)したときに備えてかけておく保険のようなものだからだ。ちなみに、

CDSは参照する債務を自分が実際に持っていなくともよい(これがポイントになる)

計算さえできればよいので、CDS自体を投資対象にもできる。

 

2.『マネーショート』ではどう使われていたか?

  マネーショートでは、どのように使われていたかというと、まさに上記の

CDSは参照する債務を自分が実際に持っていなくともよい

という特徴を生かし投機対象としてCDSを利用している。

 

 そもそも、映画のタイトルである『マネーショート』、原著の「世紀の空売り」いずれでもよいが空売り(ショート)の意味をしらべると、

空売り(からうり、: short selling)は、投資対象である現物を所有せずに、対象物を(将来的に)売る契約を結ぶ行為である。商品先物外国為替証拠金取引でも用いられる用語だが、差金決済を前提としたこれらの市場では売り買いとも「空(から)」である事が前提であるため端的に「売り」「ショート」(short)と呼ぶことが多い。対象物の価格が下落していく局面でも取り引きで利益を得られる手法のひとつ。「信用売り」「ハタ売り」も同義語である。対義語は「空買い」。 (出典:Wikipedia)

とのこと。先物取引等で信用売りを行うときに使われる用語だが、今回、主人公たちが市場のゆがみに気づき崩壊を予測したRMBSに信用売りのシステムなんてない。

そこで彼らは、RMBSCDSを購入したのだ。

 RMBSを参照債務として、投資銀行CDSを締結し、住宅ローン市場の崩壊への賭けを成立させたのだ。

 

 こうやって考えると、①絶対的と絶対的と信じられていた米住宅市場の崩壊を誰よりも早く見抜いたこと、②商品をうまく利用し自分たちの賭けを成立させたことという二重の意味で、主人公たちはすごかったのだと思う。

 結果として、彼らの予想は的中し巨額のもうけを出すが、それはアメリカと金融システムの崩壊を意味していたため主人公たちはそれぞれに複雑な思いを持つ。

 

リーマンショックで、世界中が手痛い目に遭ったはずなのだが、今度は米オートローンがバブル気味との報道もある。

jp.wsj.com

 

歴史を繰り返すというが、できれば金融システムの崩壊は繰り返してほしくない歴史である。

 

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)
 

 

 

デリバティブ取引のすべて~変貌する市場への対応~

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