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【映画】-1『マネーショート』がマニアックすぎた① ABS

少し前になるが、タイトルの『マネーショート 華麗なる大逆転』を見てきた。

マイケル・ルイス著「世紀の空売り」が原作で、リーマンショックの引き金となった米国住宅ローンバブルの裏で、逆張りにより儲けた人たちの話。

 

これだけ見ると単純な話だ。

要は「みんながありえないと思った方に賭けた変わり者たちの話」だ。

 

しかし、実際映画を見ると…

「何言ってんだこいつ」

となることうけあいだった。

 

見た目では、一般人にも分かりやすく作ってあるように見せているが、その実、金融商品の定義が大して語られずに進むため、予備知識なしでは置いてきぼり必至である。鑑賞後はなんとなくわかったようなわからないような。

この映画を見るうえでは、少なくとも2つの金融商品について知らないと一瞬で取り残される。ABS(Asset Backed Securities)とCDS(Credit Dfault Swap)について、簡単にメモ(簡単に記載するのでこの際詳細な部分の正確性は置いておく)。 

(思ったより長くなりそうなので、2回に分けて書きます)

 

1:ABS

ABS(Asset Backed Securities)は、日本語にすると「資産担保証券」といった意味になる。

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ABSは上記のような形で作られ(中央右のAAA~BがABSになる)、この組成手続を”証券化”と呼ぶ。スキームの概略としては、オリジネーターと呼ばれる人たち(元々資産を持っている人たち)が専用の箱(SPV:信託銀行の信託口や特別目的会社【SPC】などを使う)に資産を譲渡する。

SPVは、譲渡を受けた資産から得られる将来のキャッシュフローをもとに債券を発行し投資家に販売する。

なぜこんなことをするかというと、オリジネーターの資金調達(将来もらえるお金を今すぐ手にしたい)だったり、債務者の貸倒リスク(回収できなくなるリスク)を投資家に転嫁するためだったりいろいろな理由がある。

また、ABSの発行に使う資産は、キャッシュフローを生めば極論なんでもよい(オートローンやカード債権などが金額も多いのでよく使われる)が、中でも住宅ローンを裏付資産とする場合をRMBS(Residential Mortgage-Backed Securities)という。

上図のAAAとかBとかというのは、格付機関の格付を指す。この格付は「債務の償還確実性」を記号であらわしたものだが、この格付の決め方は「元の債権のデフォルト率が[●]%だからそれを3倍した[△]%毀損しても大丈夫ならこの債券はAAA」といった決め方になる。つまり、「ABS全体のうち[△]%(それより下の債券)のバッファーがあれば、デフォルトが起こってもAAA債券は毀損しないよね。」ということ。ちなみに、一般的には債権が貸倒始めた時は、下(B格ABS)から償還されなくなっていく。

 

こうすると、B格ABSを買う人はかなり少ない。もちろん金利は相応に高くしてあるが、それでも元本が毀損するリスクが高いからだ。

そこで、出てくるのが、映画でも登場したCDO(Collateralized Debt Obligation)と呼ばれるものだ。簡単に言うと、「売れないゴミ(B格ABS)を寄せ集めて、新しくABSを作っちゃえ!」ということだ。

実はゴミを集めてABSを作ると、またAAAの部分が生まれるのだ。なんという魔法のステッキ…

 

こうやって、バンバン住宅ローンを出しては、せっせと裏で証券化していたのが、住宅ローンバブル時のアメリカということだろう。

 

 

 

 

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CDSについてはあらためて書きたいと思う。