最後にこれだけは言わせて欲しい

ダラダラ出来なくなった金融マンの遺言

みんクレが行政処分を受けた件

某プロブロガーさんがまたもや炎上していると思ったら、みんなのクレジット(以下、『みんクレ』。)が行政処分を受けたとのこと。

クラウドファンディングの全体感については、以下の記事をご参照ください。

 

www.finance-neko.com

 

 今回行政処分を受けたみんクレは、貸付型のクラウドファンディングです。

この形式は個人投資家から匿名組合形式で資金を集め、資金需要者に貸付を行うもの。

今回処分の対象となったのは、「実際に募集された資金使途と異なる資金に充てられていた」点。

www.nikkei.com

株式会社みんなのクレジットに対する検査結果に基づく勧告について:証券取引等監視委員会

 

事案の概要はSESCがまとめてくれています。

関係会社への横流しに加え社長の個人資金への流用とダブルパンチです

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出典:証券取引等監視委員会

 

 ストラクチャードファイナンス等においては、回収金とオリジネーター*1(ないしは回収する会社)の通常資金が混在してしまうリスクをコミングリングリスクとしてリスクヘッジします。

一次的な回収をオリジネーターに委託するにしても、回収後は信託銀行の信託口等に引き渡すようになっているのは、自己の資産との分別管理を行うためです。

みんクレ及び貸付型クラウドファンディング全体に総じて言える問題が2つあります。

 

貸金業法との関係で投資先が不透明

これは本件とは直接関係ないですが、貸金業法との関係から投資家への情報開示が不十分であると言わざるを得ません。

貸金業法上、反復継続して貸付を行う場合、「業」として貸付を行っているとみなされ貸金業登録が必要となるようです。

しかし、個人に業法登録を強いるのは現実的ではありません。そこで現状は、匿名組合出資+資金需要者名非開示」という形式で乗り切っています。

その結果として、投資家からするとよくわからない先に投資している状態に陥っています。

 

②分別管理

こちらが今回問題になった点。

上述の通り、その他の金融商品の場合、各案件ごとに信託銀行に預り金(投資家の投資資金)を委託するなど、自社ないしは他案件の資金との分別は徹底しています。

しかし、貸付型クラウドファンディングを行っている企業はどこを見ても、自分たちで預り金を管理しているようで分別管理も自己責任のようです。

これは、コストをかけずに投資を行わんとするがための結果ではないでしょうか。

また、今回の資金流用は①の社名非開示の状態が一定程度助長したものだと考えています。

社名が開示できる状態であれば、架空の案件はそれほど簡単に作り出せないので、横流しも防げたかもしれません。仮に需要者の実名で資金を集め横流しを行ったとしても需要者の側も不審に思うはずです。

この件は、ある種、問題の可能性を認識しつつ放置していた監督庁の失策であると思います。

 

個人的には、クラウドファンディングというシステムそのものには期待しています。

銀行という組織は、規制が厳しくなり(トランプの登場で一次的に緩和されるかもしれませんが)取るべきリスクをとれる状況にはありません。

 

しかし、貸付型が今後コーポレートファイナンスの一角を担うには、

①情報開示により投資家がリスクを適切に判断できる状態を整備すること

②集められた資金が適切に需要者のもとへ届けられること

③デフォルト時の対応策を設定すること

あたりは、しっかり整備してほしいです。

③は今回検討しませんでしたが、多くの会社でデフォルトした債権のサービシングについて検討されていないように思います(「担保が設定されているから大丈夫」的な論調で、蓋を開けてみると第二抵当でしかないなんてこともあります)。

いまは、デフォルトが現実化していないのでよいのかもしれませんが、実際貸倒が起こった場合にリスクを投資家に負わせることができるのか…

 

 

*1:ストラクチャードファイナンスを実行する企業等

議論の必要性

雑記。

上司と今後の営業計画だとかFintechがどうだとか諸々を含めて1時間程度議論しました。

 

そこで、ふとそういう時間の重要性と社会人になってからそういう時間が少なくなったなぁ、と。

 

社会人になると、正直学生よりも学習時間は多いように感じます(職業にもよるかもしれない)。

 

しかし、1人で情報を収集するだけではそれを自分の中で消化するには物足りません。

覚えるだけなら、読む・書くで良いがそこから新たな価値を導き出すには他者との議論が必要になります。

 

スッキリした頭でそんなことをふと思った次第。

 

FinTechの衝撃

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事業戦略策定ガイドブックー理論と事例で学ぶ戦略策定の技術ー

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